恋せよ乙女
┣*直球勝負
長いようで短い昼休み。
暇を持て余し、なんとなーくうろついていた廊下で、前方に見慣れた後ろ姿を発見。
このあたしが、彼を見間違えるはずなんてない。
あの背格好、歩き方……、どう考えてもあれは氷室さんだ。
そう確信するとともに、急に晴れ晴れとする気持ち。
廊下には人がいっぱいいる、とか、氷室さんの周りにはおなじみの生徒会メンバーがいる、とか、あたしにはもはやそんなのどうでもよくて。
「ひーむーろーさーん!」
「っ…!!」
後ろから抱きつくという名の、アタックを食らわせた。
「今日も大っ好きです!」
そしていつも通りにそう言えば、周囲から聞こえる笑い声。加えて、あたしを見下ろす氷室さんの怖い顔。