恋せよ乙女

「……紫音。いい度胸、だね。」


頬を引き攣らせながらあたしを引き離す氷室さん。そんな彼のリアクションに、横にいた経理委員長、山宮昴がグッと笑いをこらえる。


「だって大好きなんですもん。」

「…しつこいよ。」


そして、これまたいつも通り交わされた会話に、とうとう堪えきれずに吹き出した。


「ねぇ、山宮。コレって、笑いごとじゃないよね。」

「あー、いや、わりぃ。毎日毎日、加藤もよくやるなって思ってさ。」

「ホント迷惑だよね。」


はぁっとため息をつき、あたしを見て呆れる氷室さん。
でも確かに、毎日毎日よくやるよ。自分でもすごいとは思う。

だけどさ…


「多少の迷惑は覚悟してくださいよ。あたしはいつだって直球勝負なんですから。」


氷室さんから構ってくれないなら、あたしから行くしかないじゃんか。