恋せよ乙女
「……ねえ、一つ聞いてもいい?」
あたしを射抜くように見つめたままゆっくりと紡がれた言葉に、あたしは小さく頷く。
それを視認した世奈は、気を落ち着かせるように長く息を吐きだしたあと、再び口を開いた。
「紫音と隼人の関係って、何?」
「……は?」
だけど紡がれたのは、あまりにも愚問で。
今さら何でそんなことを聞くのかと、笑い飛ばそうかとも思ったけれど、世奈の顔があまりにも真剣だったからやめた。
「今さら、どうして?あたしと隼人は、ただのいとこだよ。」
知ってるでしょ?
そう言い足し、端的に事実を告げる。
でもそれでは満足しなかったのか、未だ疑うような瞳があたしを映し続けていた。
―――でも、本当に。
突然世奈がこんな問いを投げ掛けて来る原因って何。記憶を遡ってみたけれど、やっぱりこれといった心当たりは無かった。