恋せよ乙女
「ただっ、あたしは氷室さんが好きなだけなのに…っ。今さら、弁明なんて聞きたくない。」
そう。あたしはただ、好きなだけなのに。
それだけの想いも、叶わないの?
どうして邪魔ばかりされるの。
「全部、嘘だったの?あたしが好きかもって、特別だって…。」
あたしが喜んだ言葉は全部、偽り?
過ごした時間は、まやかしでしかなかった?
「嘘じゃない。僕は紫音が…」
「もう、いいよ。何かあたし、氷室さんがわからなくなった。」
どんなに好きでも、上手くいかない、叶わない。
“きっぱり終わっている”はずの鈴木さんとこんないざこざが生じるなんて、数週間前のあたしは予想さえしていなかった。