恋せよ乙女

並べられた自己中心的な理屈に、ただ呆れる。鈴木さんの、氷室さんを好きだという気持ちは、無下にはしないけれど。


「いつまでも、過去に縋るのはやめて。
あたしの邪魔を、しないで。」


だからって、他人の恋の邪魔をするのはおかしいでしょう？

どうしようもないくらい好き、その気持ちはわかる。でも、それにしても、鈴木さんのやり方は間違ってる。

――だけど。


「過去に縋るって？ 邪魔って、何？
私はまた、恭君の気持ちを取り戻そうと思っていたのに……。邪魔をしてるのはあなたじゃない！」


肩で息をしながら、凄まじい表情であたしを睨みつけてくる鈴木さんに、最早何を言っても無駄な気がした。

あたしがいつ、邪魔をした？

何度も当たって、そのたび砕けて。

少しでも気にしてもらえるように、振り向いてもらえるように、ひたすら努力してきたのはあたしでしょ？

鈴木さんに、あたしの何がわかるの。