恋せよ乙女

それにしても、ここって病院……だよね、明らかに。

自分がどうしてここにいるのか、どうしてベッドに横たわっているのか、体中の痛みの原因は何なのか、それ以前に何で怪我なんてしているのか。

全てのことを、全く以って思い出せなくて、もどかしい。
第一、あたしが病院に運ばれる要素なんて、まるっきり無かったはずなのに。

段々とはっきりしてきた意識に、痛みを堪えながら世奈の後ろ側へと視線を向けてみた。

すると確認できた、数人の人影。
一体、誰が来ているのかと確認すれば、ちょうどお母さんと目が合って。


「……先生、呼んで来るわね。」


ゆっくりとそう言ったかと思うと、足早に病室を出て行ったお母さん。

病室には、あたし達だけが残された。
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