恋せよ乙女
「…バーカ紫音。何で階段から落ちたりなんかしてんだよ。」
「本当に馬鹿よ。どんだけ心配したと思ってるの。」
頭上から見下ろすようにあたしに声をかけてくる隼人と、未だ手を握ったまま言葉を紡ぐ世奈。
その二人に共通していたのは、本当に安心したというように浮かべられた、優しい笑顔で。
思わずつられて、あたしの頬も緩んだ。
「あははっ。何か、心配かけちゃったみたいでごめん。もう大丈夫ー。……にしてもあたし、階段から落ちたとか本当?超ダサくない?」
これ以上心配かけないように、そう思って笑いながら紡いだ言葉に、一瞬、二人の笑顔が固まる。
何事かと思って口を開きかけたあたしを、隼人が制した。