恋せよ乙女

「……それにしても紫音、体調は?」

「何世奈、いきなり。それに、体調は?って質問、あたしにするのおかしいよね。別に、病気になった訳でも何でもないのに。」

「あんた、一応入院していた身なんだから、そんなこと言わないの。」

「ははっ。まぁ、確かにそうだけどさ。 …元気だよ、心配しないで。」


そんな他愛もない会話を交わしながら、時折笑い声が聞こえてくる廊下を通り、中央階段を下る。

生徒玄関が近くなってくるにつれ、グラウンドで部活中である運動部の声がよく聞こえてきた。

そして生徒玄関を目の前にしたとき、開け放たれていたドアから涼しい風が吹き抜ける。

この季節にしては爽やかな風に小さく息を吐いた刹那、ふと、あることに気がついた。
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