恋せよ乙女
「…何だ、何か予定でもあるのか?」
どうせ、まだ帰らないんだろう?
そう言わんばかりの表情に、思わずため息が出る。
「はぁ……。予定なんて無いですよ。だから手伝いますー。」
まぁ、別に?
ぶらぶらとなんて、いつでもできるし。
予定なんて、これっぽっちも無いし。
持たされていた資料を机の上に置き、一番上のファイルを手にとった。
「そうか。悪いな。…じゃあ、そっちの方の資料を、ファイル名を確認して棚にしまってくれ。」
指示されたことに、短く「はい。」と答え、手にしたファイルの背を見てみる。するとそこには、小さく“2009年度入試”と書いてあって。
そういやあたしの担任、去年までは進路指導に携わっていたんだよな、なんて、不意に思い出した。