恋せよ乙女
「……加藤の進路希望は…、」
「変わってないですよ。春に提出したまんまです。」
「そうか。ちゃんと勉強してるか?」
「先生にそう聞かれて、“してない”って答える人いるんですか?」
「問いに問いで返すなよ。」
そして案の定、交わされる受験関係の会話。
逃れられなくて、必ず乗り越えなければいけない壁だと知りつつも、やっぱりこんな会話は好まない。
だからその後は、ほとんど会話は無く黙々と作業を続ければ、作業開始からおよそ1時間半弱、ようやく全ての資料整理を終えた。
やり切った。そんな思いで、ふう、と小さく息を吐き、窓の外へと視線を投げると、鮮やかなオレンジが視界を染めた。