恋せよ乙女
“いつまでも、過去に縋るのはやめて。
あたしの邪魔を、しないで。”
“過去に縋るって? 邪魔って、何?
私はまた、恭君の気持ちを取り戻そうと思っていたのに……。邪魔をしてるのはあなたじゃない!”
半ば叫ぶような、鈴木さんの声が強く頭に響く。でもほら、やっぱり鈴木さんにとって、あたしは邪魔だった。
そう思った刹那、ズキンと刺すような強い痛みが頭に走った。
“……、もういい。話にならない。早くこの手を離して。”
“だからっ、行かせないって言ってるでしょ!?”
“…っ、ふざけなっ……!?!?”
……―――ああ。思い、出した。
あたしが何で階段から落ちたのか、を。
ほんの一瞬の出来事、だったけれど。
何の用があったのか、会長に会いに行く途中、あたしは鈴木さんと揉めて。
強く掴まれた右手を引かれた反動で、階段から 落 ち た 。