恋せよ乙女
だからゆっくりと、生徒会室の中へと足を踏み入れる。
だけど刹那、脳内を駆け巡った既視感。
ここには初めて入ったはずなのに、何故かどこか見覚えがあるような、漠然とそんな感じがして。
机の位置もソファーの場所も、何となくだけれど、間違いなくあたしの頭は記憶している、そんな確信めいたものが心の奥で疼いた。
「……どうしたんだい?頭でも痛い?」
そして、不意にかけられた会長の言葉でハッと我に返る。
どうやらあたしは相当表情を歪めていたらしく、黙りこくっていた中、会長が心配そうにあたしの表情を窺っていた。
だから少し大袈裟に両手を振り「大丈夫です。」、そう笑顔で返し、あたしもソファーに腰掛けた。