恋せよ乙女
「だからね、紫音。」
―――ズキン、
“ただ、‘好きがわからない’と言っていた恭君が、どうしてあなたと付き合い始めたのかを知りたいだけ。本当にそれが本心からだったのかどうか、をね。”
“もう気づいていると思うけど、私はまだ、恭君のことが好きよ。大好き。”
“絶対に恭君を、あなたには渡さない。”
会長が再び話し出した中、鋭い、焼け付くような痛みが頭を駆け抜けた。それと同時に、頭の中へ直接流れ込んで来るように、少しずつ記憶が溢れ出す。
憎悪が込められたような、普段より若干低い鈴木さんの声が頭の中に響いた。