恋せよ乙女

これはまず、あたしが借りを返さなきゃ。
色々やられたまま、そのままにしておくなんてあたしの気が済まない。
……とか言いつつ、特に何をしてやる訳じゃないのだけれど。隼人に言われた通り、無駄に負けず嫌いな自分に思わず苦笑した。

中央階段を上りきって左側、右から二番目に鈴木さんのクラスがある。コツコツと響く自身の足音が妙に大きく聞こえ、緊張感は増していく。

そして、ドアの窓のガラス越し、目的の人物の姿を視認し、ゆっくりとドアを開けた。


「……遅くなってごめんなさい。待たせちゃった?」

「いいえ。特に待ってないわ。……あぁ、ほら。ここに座って話しましょう。」

「え。あぁ、うん。」


促され、ゆっくりと教室に足を踏み入れて指差された椅子に腰を下ろす。と同時に、あたしの正面の席に鈴木さんも腰を下ろした。
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