恋せよ乙女
でもだって、いらいらするんだもん。
今までの鬱憤を晴らそうとでもするようにわきあがって来る激情を、もはやあたしが止める術なんて何一つ持ち合わせてはいなかった。
「…確かにあの時、あたしは納得したかもしれない。でも鈴木さん、わからないなんて違うでしょ?あたしがまた同じことを聞く理由、あなたにわからないはずがない。」
「………。」
「ねぇ…。そんなに、信じたくない?思い出させたくなかった?嘘を並べて、偽って、楽しかった?」
一層困惑を深める瞳に、あたしは小さく笑みを零す。放たれる言葉は支離滅裂だけれど、この際どうでもいい。
そして止まらない口にこの際全てを委ね、あたしは真っすぐと鈴木さんを見つめた。
「ごめんね、鈴木さん。思い出したの、あたし。だからもう、嘘の記憶を教えてくれなくても大丈夫。」
そう、ほんの少しの皮肉を込めて。