恋せよ乙女

「…で?全部知っているくせに、どうして私の誘いを受けたの?」


口を開かないあたしに、怪しむような視線が向けられる。同時にぶつけられた、当然といえば当然わいてくる疑問に小さく息を吐いた。


「いつまで鈴木さんがあたしに嘘をつき続けるのか、ちょっと気になって。」

「それだけ……、じゃなさそうね。」

「まあね。…いい加減、度が過ぎた嫌がらせをやめてって、過去の想いを断ち切ってって、そう言おうと思ったから来たの。」


本当はもっと言いたいことはあったけれど。
とりあえず今は、それだけでいい。

ただそれだけをわかってくれるなら、今までの確執になり得ること全て、なかったことにしてもいい。そう思うことさえできる。
< 349 / 396 >

この作品をシェア

pagetop