恋せよ乙女
でもよかった、ただの噂で。
ぶっちゃけ、あんな美人で有能な人と恋敵なんて、いくら強気なあたしでも心折れてしまう。
全く、世奈のせいで無駄な心労が…。
絶対寿命縮まったよ、コレ。
「だいたい、人の恋愛を面白おかしく騒ぎ立てること自体に問題があるんだ。第一、そんなギスギスした関係のままだったら、まともに仕事なんてできないよ。」
生徒会の仕事をなめてる、そうつぶやいて、氷室さんの瞳はまたあたしを捉えた。
「…どう?これで満足した?」
微笑み、頬杖をつきながら問いかけられた質問に、あたしはただひたすら頷いて。その様子に、氷室さんから苦笑が零れる。
「…じゃ、そろそろ帰りなよ。例 の ご と く、僕は忙しいから。こう毎日邪魔されると、さすがに仕事にならない。」
「あー…、相変わらず痛烈なお言葉ですね氷室さん。」
そう返しつつ、あたし自身は邪魔してるつもりはないんですけど、なんて、本当に忙しそうに書類をめくる氷室さんを見てたら、さすがに言えなくなった。