恋せよ乙女
気まずく、広がっていく沈黙。
時折外から聞こえる運動部の声だけが、やけに大きく聞こえる。
「……―――でよ。」
「え?」
不意に、呟くような小さな声があたしの耳に届いた。その声に反応するかのように、ゆっくりとまた鈴木さんを見上げれば、彼女もまた、あたしをきつく見下ろしていて。
「綺麗事なんて、言わないでよ!」
大きく放たれた言葉は、強く耳の中で反響した。鋭いけれど潤んだ瞳が、あたしを射抜く。
「私はただ、誰よりも恭君の傍にいたかっただけなのに……っ!」
そして絞り出すように紡がれた言葉は、ただ虚しく宙に消えた。