恋せよ乙女

「紫音……?」

「……あ!そうだ氷室さん、ハイビスカスの花言葉知ってます?」

「花言葉?」

「はい、そうです。」


いきなり顔を伏せたあたしを不審に思ったのか、窺うような視線を向けて来る氷室さん。けれど、赤いであろう顔を見せたくなくて。
咄嗟に思いついた話題を口にして少しだけ顔を上げれば、氷室さんは思案するように目を細めた。


「……いや、知らない。どんなの?」

「えーっと、『勇ましさ』『新しい恋』『上品な美しさ』『華やか』等々ですかね。」

「へぇ。…上品なっていうのはおいといて、キミにピッタリな言葉ばかりだね。」

「へ?」


あたしにピッタリな言葉ばかり、だなんて、どの辺が?いまいちピンとこなくて氷室さんを見返すと、氷室さんはゆっくりと口を開いた。
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