恋せよ乙女

「あ、隼人だー。何って、決まってるでしょ。例のごとく氷室さんに……………あたしの愛を押しつけてる?のかな。」

「俺に聞くなっての。」


いや、ごもっともです。
思わず、押しつけてるのかなんて、隼人に尋ねてしまった。

苦笑いをもらすあたしにつられ、隼人からも苦笑が零れる。


「…ま、そんなことより。
俺、部活早めに終わったんだけど、久しぶりに一緒に帰るか?」

「んー…」


一緒に、か…。
家が隣同士だから、昔はよく一緒に帰ってたけれど、確かに久しく一緒する機会もなかったな。

思ってもいなかった隼人の誘いに、ふと氷室さんの顔を窺う。

すると、あたしの視線に気づいた氷室さんは、ほっとした表情を浮かべて口を開いた。
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