恋せよ乙女
「そこ、座っていいから。」
「あ、はい。」
カバンを傍らに置き、ふかふかのソファーに腰掛ける。
与えられた書類をパラパラめくれば、身近なのに普段関わることのないことも書かれていて。
普通なら知ることもないだろうことに楽しみながら、ただ黙々と仕事を進める。
書類を見ながら計算機を叩いたり、慣れない仕事に悪戦苦闘しながらもとりあえず与えられた分を終えた。
大きく伸びをして、深呼吸。
肺一杯に空気を吸って、大きく吐き出す。
「はい、氷室さん。終わりましたよー。
次は何しますか?」
「ん、もう終わり。キミが手伝ってくれたから、3分の1の時間で片づいた。」
定位置である生徒会長の椅子。
そこで腕を組む氷室さんの表情には、あの優しい笑みが浮かべられていた。