恋せよ乙女
「…それって、作る意味あるの?」
「ありますよ。」
もちろんありますよ、あたしにしてみれば、とても大きな意味が。きっと、氷室さんにはわからないだろうけれど。
掛けられた問いに、笑顔で自信たっぷりに答えれば、案の定、氷室さんの表情は一層険しくなって。
小さなラッピングの袋を手に取り視線をそれに落とすと、氷室さんはまた、ゆっくりとあたしに問いかけてきた。
「…へぇ。どんな?」
でも、どんな意味があるのか、だなんて、そんなのは愚問だわ。
―――だから、
「秘密、です。」
あえて本人には教えてあげない……否、ただあたしが、本人にその理由を言うのが恥ずかしいだけなのだけれど。