恋せよ乙女

「…それって、作る意味あるの?」

「ありますよ。」


もちろんありますよ、あたしにしてみれば、とても大きな意味が。きっと、氷室さんにはわからないだろうけれど。

掛けられた問いに、笑顔で自信たっぷりに答えれば、案の定、氷室さんの表情は一層険しくなって。
小さなラッピングの袋を手に取り視線をそれに落とすと、氷室さんはまた、ゆっくりとあたしに問いかけてきた。


「…へぇ。どんな?」


でも、どんな意味があるのか、だなんて、そんなのは愚問だわ。

―――だから、


「秘密、です。」


あえて本人には教えてあげない……否、ただあたしが、本人にその理由を言うのが恥ずかしいだけなのだけれど。
< 5 / 396 >

この作品をシェア

pagetop