恋せよ乙女
「あー…、頭痛い…」
だけどやっぱり、さすがに今日は無理だったのかもしれない。
……っていうか、明らかに無理だ。
せっかく目の前にせまった学校、あと数歩踏み出せば学校の敷地内なのに。
ふらつく足下と霞む視界に、ようやく諦めがつき、名残惜しくも学校に背を向けた。
でも、もと来た道に足を踏み出そうとした、その刹那。
一瞬、真っ暗になったあたしの視界。
え?と思う暇なく、力が抜けた体は前へと傾いていく。
このままコンクリートに顔面激突はやだな、
顔面が腫れたりなんかしたら、氷室さんに顔を見せれなくなってしまう、
なんて考えられるあたり、まだ気持ち的には元気っぽいんだけれど。
まるでスローモーションのごとくゆっくり流れる景色、反射的に目をつむる。
まもなく訪れるであろう痛みを想像して、ぎゅっと奥歯をかみしめた。