恋せよ乙女
「…どうかした?」
そんな疑問が表情に出てしまっていたようで、氷室さんがあたしに不思議そうにそう問いかけてきた。
隠すことでもないように思えたので、あたしもゆっくり言葉を紡ぐ。
「あ、いえ…。あの、氷室さん。
な、んで…何であのとき、授業中なのに学校の外にいたんですか?」
「あのとき?……あぁ、決まってるでしょ。ただの見回り、だよ。」
一瞬の間のあと、発された答えに感じた、少しの違和感。
―――だってそれは、
「そういう見回り的なのって、いつも放課後に、やってたじゃないですか…」
少なくても、授業中に見回りだなんて、今まで追いかけ続けてきた中で、一回も見たことなんてない。