恋せよ乙女

「…どうかした?」


そんな疑問が表情に出てしまっていたようで、氷室さんがあたしに不思議そうにそう問いかけてきた。

隠すことでもないように思えたので、あたしもゆっくり言葉を紡ぐ。


「あ、いえ…。あの、氷室さん。
な、んで…何であのとき、授業中なのに学校の外にいたんですか?」

「あのとき?……あぁ、決まってるでしょ。ただの見回り、だよ。」


一瞬の間のあと、発された答えに感じた、少しの違和感。

―――だってそれは、


「そういう見回り的なのって、いつも放課後に、やってたじゃないですか…」


少なくても、授業中に見回りだなんて、今まで追いかけ続けてきた中で、一回も見たことなんてない。
< 66 / 396 >

この作品をシェア

pagetop