恋せよ乙女
「はい、コレはおまけです。」
「……何コレ?」
そして、ふふふと笑いながら氷室さんに差し出したのは、裁縫の苦手なあたしが頑張って作った“氷室さん人形”。
若干いびつな形だというのはこの際気にしないことにして、ちゃんと胸のところに“love”と刺繍もしてある。
「何コレ?って失礼ですね。
明らかに氷室さんじゃないですか。」
フェルトで作られたその不格好な人形を手に、氷室さんは物珍しそうにそれを眺めていた。
「…一つ言っておくけど紫音、いくらなんでも僕は、こんなにいびつじゃないよ。それにloveって…」
「あ、それはあたしの気持ちです。」
いたってまじめに答えたあたしを見て、氷室さんはクスリと小さく笑みをこぼした。