恋せよ乙女

「……氷室さん。本当に、あたしを探してたんですか?」

「いいから寝なよ。」

「気になって、寝るどころの話じゃありません。」


あたしがそう言えば、氷室さんは大きなため息をついて、読んでいた本をパタンと閉じた。


「…氷室さん?」

「探してたよ。キミのこと、本当に。」

「どうして…ですか?」


“どうして”あたしを探していたの?
微妙に予想はついてるくせに、わざわざ聞くあたしはズルい。隼人に負けず劣らず、意地が悪いのかもしれない。

でも。

教えてほしい、氷室さんの口から。
嘘でもいいから、言ってほしい。

熱にうなされてる今、
本気にとったりしないから。

良い夢見たな、って、
そう思うことにするから。

だから―――…
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