恋せよ乙女

ってかヤバい…
迷惑にもほどがある。


「あの、氷室さん…」

「何?大丈夫だよ。僕は今一人暮らしだし。待ってる人なんていないから。」


ごめんなさい、そう言おうとしたのを遮るように、氷室さんはそう言って笑った。

そして不意に伸びてきた手が、あたしの額に触れる。


「…ってか紫音、まだかなり熱あるし。おとなしく寝てなよ。」


言われてみれば確かに、落ち着くことなく揺れる視界に、ずきんと痛む頭。
加えて、久しぶりに感じる吐き気…。

氷室さんに支えられるようにして、再びベッドに横になった。

人間、気づいてしまうと余計症状が重くなってしまうのかもしれない。

悪くなる具合に、上がる熱に、
急にわき上がってきたのは心細さと、
どうしようもない不安…

そして。

いつもにも増した、
氷室さんへの想いだった。
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