恋せよ乙女
「…何、泣いてるの?」
そんなの、わかんない。
熱くなった目頭に、こみ上げてきたものに、どうしても耐えられなかった。
「苦しいの?どこか痛い?」
苦しくない訳じゃないけど、痛くはない。
だけどツラいよ。嬉しい反面、あなたの優しさに触れることがツラい。
…――だってそれで。
自分の想いを、より強く、再認識してしまうから。
ベッドの横に再び屈み込み、あたしに視線を合わせてくれた氷室さんにむけて、あたしはゆっくりと口を開いた。
「…氷室さん。」
「ん、何?」
無意識に震える声に、力と想いを込める。
「あたし、氷室さんが好きです。」