恋せよ乙女

「あー…氷室?何でいねーのかは知らねーな、悪いけど。でもいねーってことは、ただ単に休みなんじゃね?」


…いやいや、休みなのはわかってるってば。ってか、知らないのね、結局。
じゃあ突然休むようなきっかけがあったんじゃ…?


「じゃあ、あたしが休んでるときに何かあったりした?」

「何か?…特にねーよ。いつも通り。いや、むしろ静かで平和。」


へへっとのんきに笑う山宮昴に少しだけイラッとする。こっちは今にも泣きそうなくらい心配なのに。


「平和だったならよかったわ。
…でも、いつも通りなら何で氷室さんの机に書類溜まってんのよ!」

「そりゃあ…、氷室が仕事終わらせてねーからじゃねーの?」


だから、それがあり得ないことなんじゃない…。零れそうになる涙を隠すため、唇を噛みしめ視線を下に落とした。
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