恋せよ乙女

「…あ、れ?紫音…?何で、キミがここに…。あ、もしかして、不法侵入…?だめだよ、紫音。ここまでしたら、犯罪…」

「はいはいはい。犯罪でも何でもいいですから、とりあえず中入りましょう。」


急に目覚めたと思ったら、1人で話し出した氷室さんを見て、相当ヤバいと確信した。

買い物袋&2人分の指定かばん片手に、持てる力を振り絞って氷室さんに肩を貸す。

あたしの部屋と比べ、だいぶ物が少ないシンプルな部屋の隅、見つけたベッドに彼を寝せ、あたしも一息ついた。


「……紫音、キミ、治ったの?学校は?」

「おかげさまで全快ですー。学校は諸事情でお休みさせていただきました。」

「…そう。」


見るからにグタっとしている氷室さんに、あなたが心配で休みました、なんて言える訳もないじゃないか。
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