時の旋律
「この時、拓が力を使ったとすると、」
柚歌が線の真ん中あたりに印をつける。
まるで英語の時制の勉強みたいだな…と密かに思った。
「拓の力で同じ時空上にまったく同じ世界が2つ存在することになったーーー自分がもう1人できた感じに似てるね。」
柚歌は印の上の所から平行にもう一本線を引き始めた。
「拓が住んでた本物の世界はその代償で時間がずっと止まってる。その代わり、新たに創られた嘘の世界が時を刻み、今私達が暮らしてるの。」
柚歌は新しく書かれた線の端っこに、今の西暦を書いた。
「えーっと、つまり…、」