【長】野球ボール〜ソウソウの夏〜
「爽先輩…ありがとうございました…」


「いえいえ。どういたしまして」


ポンポンと軽く頭を叩く。

安心したのか、少し離れて俺を見上げたアイボン。


「爽先輩すごいですね。あたし、うれしかったです」


ニコッと微笑むその顔は、いつもよりは強張ってたけど。

それでも、その笑顔が見れてよかったと思う。




「ははは…。実は超ビビってたけどな」


俺はいつも通りニッて、調子よく笑った。


「だってアイツら大人じゃん。殴られたらどうしようかと思った!!」


大袈裟にふざけて言うと、一瞬キョトンとして…今度はいつものように笑った。


「……あはは♪そうだったんですか?」


怖い思い出なんか、全部全部俺がなくしてやる。

アイボンにはただ、ずーっと笑っていて欲しいから。


「俺の武器、カンチョーだけだし」
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