【長】野球ボール〜ソウソウの夏〜
「ソフトボールクラブのエースが、まさかの俺の好きな子で。すっげぇ球投げんの」


「女の子がエースですか!?」


「そ。男の中にその子は混じってやってて、勝負を挑んだら…完敗」


超速ぇし、すげぇ球威もあった。

俺のバットにはかすりもしなかったな。


「そんでその子が言ったんだ。あたしは男の子にも負けないような、すごい野球選手になるんだって」


そんな横顔がカッコよくて、野球に興味が湧いた。




「で、すぐにソフトボールクラブは辞めて…近くの硬式野球チームに入った」


「え!?行動早いですねっ」


「んー…勘?やらなきゃダメな気がした」


無茶苦茶だったかもしんないけど、今の俺があるのはあの頃のお陰だと思う。


「でも爽先輩のことだから、すぐに上達したんですか?」


「全然。自慢じゃねぇけど俺、グラブは利き手にするもんだと思ってたぐらい♪」


それに同級生に比べて小さかったから、バットの重さにも耐えられなかった。
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