【長】野球ボール〜ソウソウの夏〜
「爽くーん、一緒に帰ろ?」


放課後、さっき彼女になった子に声をかけられた。


「俺…この足だからバスなんだけど」


「あ、そっか。ごめーん」


かわいらしくテヘッと謝る彼女。

すげぇ幸せそうな笑顔。


この笑顔の源は俺なんだろうな。

そういうの…くすぐったいけど、やっぱうれしい。




「じゃあ少し話して帰らねぇ?」


俺にできることはそれぐらい。


「え?いいの!?」


笑顔に胸がキュンてなる。

この子が彼女でよかったかも…?


彼女よりは野球だけど、クラスメートよりは彼女だな。


「咲智ちゃん」


「何?」


誰もいない教室で、振り向いた彼女にそっと唇を合わせた。
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