シオン
「「紫苑」」

聞き覚えのある声と重なった。

ぱっと顔を上げる。

笑う彼に泣きそうになる。

「ごきげんよう」

私がそう言うと、さすが花屋の娘、と彼が笑った。

紫苑の花言葉の1つ。
ごきげんよう。

「紫苑、誕生日おめでとう」

「ありがとう……」

「また、またすぐにあっちに戻らなきゃいけないけど……」

「うん」

「俺、いつも紫苑のこと」

「うん」

わかってるよ。

紫苑のもう1つの花言葉。
遠方にある人を思う。

「じゃあ、お返しに私も紫苑の花束を贈ろうかな」

傍に行きたくても行けない、紫苑(ワタシ)の代わりに。

気持ちを込めてリボンを巻く。

ぼやける視界のせいで、カールがうまくできなかった。










終わり
< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

Blue Book

総文字数/5,638

青春・友情21ページ

表紙を見る
土曜、13:57

総文字数/693

ノンフィクション・実話1ページ

表紙を見る
ビー玉がほしいです。

総文字数/1,306

その他5ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop