年下くんはオオカミです。




薬を飲んでから奥のベッドに横になったあたしは、
保健室のごわごわしたシーツをいじいじしながら考えてみる。

だけど一向に思い当たる節がなくて、マスクを引っ張っては離し、
引っ張っては離しを繰り返しながら唸っていた。


と、そこへガラリと保健室のドアを開ける音が聞こえ、誰かが保健室へと入ってきた。

あたしと同類の人かと思って、耳をそば立てて誰だろうと聞いていたら、


「すみません、絆創膏もらえますか?」


聞き覚えのある……っていうかさっきも言ったかもだけど、
聞き覚えがなきゃおかしいくらいのその声が聞こえてきたから、

あたしは思わず「ゲッ!」と口に出してしまった。


すると、カーテンの向こうに居る気配が、明らかにあたしに気がついたように黙った。


しまった!

あたしのバカ!


慌ててマスクの上から口を押さえる。

手遅れなのは百も承知さ。




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