俺の宝物
ゆりあが俺の手を強く握り行きなり走り出した。



「おい!ゆりあ!止まれって!赤ちゃんのためによくねえぞ!」



「ごめん。」



「とりあえずそこ座ろ?」


ゆりあを落ち着かせるためベンチに座った。



「ゆりあ。もしかしてあの人、、、。
ゆりあの父さん?」



「わかんない。お父さんは小さい時居なくなったから顔、覚えてないから。
でも、何か懐かしい声で。
お父さんかもしれないって思ったら、動けなくって」


「ヨシヨシ。」


俺は何も言えなくて、頭を撫でた。



だって、実の父が新しい家族を持って、新しい人生歩んでるのをまの当たりにしたんだ。


いくら離れても父親は父親だもんな。



しばらくすると、


さっきの父親がゆりあの目の前に立っていた。



「あの。君はゆりあか?」
「え?はっはい。」


「ゆりあだね。こんなにおっきくなって。」


やっぱりゆりあの父さんだったんだな。


ゆりあは、俺の手をギュット握り、口を開いた。


「あの、あなたは今幸せですか?」

「勿論だよ。」


そういうとゆりあは、安心したのか涙を流しながら、


「良かった。あ。私ねお母さんになったんだ。
それにこの人と結婚したんだよ!」


と笑顔で言い、会釈をすると、また歩き出した。


「幸せにな!」


ゆりあの父さんは、おっきなこえで叫んでいた。



俺は頭を下げゆりあを追っかける。




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