モンブラン2
冬眠かも知れへんからってお父ちゃんとお母ちゃんは
チップの体を温めた。
ふたりの涙がぽろぽろと落ちて、僕はその下で座ってた。
何もできひんけど
僕がおるから。
お父ちゃんの足の指をなめてみる。
お父ちゃんは、僕に、チップを見せた。
ほんまにちっこい。
初めてみたチップの歯は、僕と同じで前歯2本が長くて
僕のミニチュアみたいやった。
ちっこい歯。
まだひげはピーンって伸びてて、
また動き出すんちゃうかなって思った。
ちっこい手、
ちっこい足。
ちっこい目。
かわいい顔して眠ってる。
僕は顔を近づけて、
チップの鼻に鼻をくっつけた。
動いて。
前に僕が顔近づけたら、僕の顔を両手でつかんだやん。
なんで、
眠ったままなん。
これが「死ぬ」っていうこと?