恋する受験生
次の日の朝、お父さんから、俊との勉強会のお許しが出た。
「昨日の話だけど……」
「昨日ぬいぐるみをくれた高校生だろ?紗江は昨日すごくいい顔をして帰ってきたなってお母さんと話してたんだよ。きっと、紗江の気持ちをわかってくれるいい人なんだろう」
お父さんは、新聞をたたんで、とても優しい表情をした。
私を気遣ってくれているんだろう。
受験生の家庭って感じのピリピリしたムードは消えていた。
「昨日の夜もしっかり勉強していたし、日頃頑張っているから勉強教えてもらっていいよ。それに、昨日から紗江は言葉遣いが昔みたいに戻ったからな。最近は、ずっと別人みたいな口調だったから」
そうか。
そうだよね。
私、チョー生意気な子だったよね。
昨日までは。
でも、生まれかわった私。
俊に似合うようなかわいい女の子を目指すんだ!!
でも、困った展開に……
「お父さんもお母さんも、どんな人か会ってみたいから、家に連れてきなさい。寒い時期だし、家の方がいいだろう」