恋する受験生
やっぱり俊は全然緊張してなさそう。
私、心臓バックバクだよ?
「合格できそう?」
「わかんない」
ペロっとケーキを食べ終えた俊。
鞄の中に手を入れて、何やらごそごそしている。
「これ、良かったら使わないかなと思って」
俊が机の上に置いたのは、赤と黒のストライプのシャーペンだった。
結構使い古した感じ。
俊からもらえるものは何だって嬉しい。
「何!?くれるの?欲しい欲しい!!」
私はそのシャーペンを両手で握り締めた。
「それ、俺が受験の時に使ってたシャーペンなんだけどさ。えらそうなこと言ってるけど、俺も合格できるかギリギリだったんだよ。受験前に、勉強から逃げ出したくてちょっとサボってたこともあって」
俊は、鞄の中から筆箱とノートを出した。
「俊、余裕で合格したんじゃないんだぁ」
「うん。運が良かった。だから、そのシャーペンには感謝してる」
「もらっていいの?」
「あぁ、お前もギリギリだろ?」
俊みたいなお兄ちゃんが欲しいと思った。
だって、お兄ちゃんだったら毎日会える。
それに一生一緒にいられるもん。