恋する受験生




耳の奥が痛くなるような大音量。


なんとも言えない匂い。


あの時は、この場所がオアシスのように感じたけれど、今は居心地が悪い。


きっと、自分の居場所を見つけたから。





俊、いないのかな。



夕方のゲーセンは、小学生、中学生がほとんどだった。


高校の制服を着た女の人がプリクラの前でしゃがんでいた。




俊に会いたい一心で、勝手に来たけど、俊の来る時間なんて知らないもんね。




ポケットの中の300円。


右手で100円玉を転がしながら、俊を探す。




「もうちょい!!!」



2階から大きな声が聞こえた。


もしかして、この前俊と一緒にいたあの大きな男の人かもしれない。






私は、ぴょんぴょんと飛び跳ねるように階段をのぼった。






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