恋する受験生



次の週も、その次の週も俊は家に来て、勉強を教えてくれた。



私はあの日、ゲーセンで見た光景を忘れる努力をした。



俊と一緒にいる時間は忘れることができるのに、俊が帰った後は思い出してしまう。




また、あの女の人達と遊んでいるのかなって思うんだ。



私は俊に何を求めているんだろう。



“紗江が合格したら付き合おう”って言ってもらえるとでも思っているの?




俊は、誰にでも優しいだけ。

でも、それは悪いことじゃない。



私を救ってくれたんだから。




「何かあった?」


シャーペンの芯を押しては戻し押しては戻し……

そんな私に俊が不思議そうな顔で問いかけた。




「今日で、最後でいいよ」



私の口から出たのは、自分でも驚くセリフだった。


どうしてそんなことを言ってしまったんだろうと後悔した時には、もう遅かった。




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