初恋の味はどんな味?
バタバタバタ……。



走る足音が遠くなっていった。



それと入れ代わりにゆっくりとした足音が聞こえる。



――ギィ…。



「遅くなってごめ……ん…?」



ボーッとした意識の中で、私は黒木君の表情が変わったのを見た。



「くろき……くん…。」



あぁ…こんなみっともない姿を黒木君に見せてしまった。



下に視線を向ければ、散らばった黒く長い髪の毛、乱れたスカート…。



スカートを直す気力もなく、顔をあげて黒木君と顔を合わせる勇気もなかった。
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