初恋の味はどんな味?
……が、その試みは無駄に終わった。



黒木君は"ゴメン"とでも言うように顔の前で手を合わせる。



でも顔は笑ったままだった。



反省の色が見えない。



それでも許してしまうのは彼の笑顔が爽やか過ぎたから。



その爽やかさが私の怒りをどこかへ吹き飛ばしてしまった。



私は許してしまったことを隠したくて、プイッと顔を背けて外の景色に顔を向けた。



緑の葉が風にのんびりと揺られていた。




爽やかな夏の空はどこまでも続いていた。



夏の空に一瞬、黒木君の笑顔が重なった気がした。













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