初恋の味はどんな味?
そんなこんなで黒木君とじゃれあいながら学校の校門をくぐった。



昇降口に着くまではすごく足が軽かったのに、昇降口に着いたら、急に足が動かなくなった。



怖い…怖い……。



さっきまで見ていたキラキラした景色は一変、今見えている靴箱は恐怖しか与えてくれなかった。



立ちすくむ私の隣を他の生徒が邪魔そうに通り抜けて昇降口に入って行く。



と、私の頭に固くもない柔らかくもない、暖かいものが乗せられた。



それは黒木君の手だということはすぐわかった。



「大丈夫…俺がいる。」



さっきの楽しそうな声とは違う、低い声だった。



不思議……黒木君がいてくれるとわかっただけで勇気が出てくる。



私は小さく頷くと、ゆっくり歩き始めた。
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