初恋の味はどんな味?
「そーいえばさ、坂中さん何書いてんの?」




突然思い出したように机の上の原稿用紙を指差した。



そうだ。



早く原稿を書き上げないといけないんだ…。



私の表情が曇ったのがわかったのか黒木君が不安げに覗き込んできた。



「坂中さん……どーした?」



私はハッとして慌てて笑った。



「実はスランプみたいでね〜。なかなかいい話が出来ないんだ。」



「スランプ…?話…?」



黒木君はキョトンをしている。



「あ、私、文芸部なの。実は〆切りが近いんだけど、なかなか筆が進まなくてね〜。それをスランプというかはわからないけど!」



「アハハ〜」と笑いながら再びシャーペンをにぎる。



それでもいいストーリーは出てこなかった。
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