初恋の味はどんな味?
「意味わからない、って顔してる。」



浜中君は微笑んで言葉を続けた。



「黒木はさぁ、桃華ちゃんを悲しませたくなかったんだ。
桃華ちゃんには笑っていてほしいから。
だからギリギリまで引越しを桃華ちゃんに言わなかった。
そして、嫌われるために冷たい言葉を言って、嫌われようとした。
そうすれば桃華ちゃんは早く自分のことを忘れるだろう、ってね。」



浜中君はそこで一旦言葉を切ると、私の表情を盗み見た。



私の頭は少しパニック状態だった。



「…俺から言えるのはこれだけ。あとは二人で、放課後ね。」



浜中君はウィンクをするとフェンスから離れて、ドアに向かった。
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