初恋の味はどんな味?
ふわっと暖かいぬくもりに包まれた。
「お前……むすっとしたり、笑ったり、泣いたり、忙しいやつだな…。」
黒木君の愛しそうな声が頭の上から降ってくる。
「くそっ……。
なんでお前、そんなこと言うんだよ…。
余計、離したくなくなるじゃないか…。」
切なそうな声に胸がきゅんとする。
「黒木君…。」
「俺も、お前のことが…桃華が大好きなんだよ。
引越しすると、会えなくなるだろ…。
だから、突き放したんだ。
これ以上、桃華にはまらないように…。
桃華も、傷つかないように。
でも……無理だった。
俺、桃華がそばにいないだけで、淋しくて…
そばにいるのが当たり前になってて…
別れてから気付いたんだ。
桃華の存在がどれだけ大きかったか………。」