初恋の味はどんな味?
きつく、ぎゅっと抱きしめてくれる。
トクン、トクンと言う心地よいリズムを刻む心臓。
私は黒木君の服をぎゅっと握った。
「桃華のことを思ってやったことだけど、傷つけたみたいだな…。」
「謝るのは俺だよ…。
ごめん……桃華……。」
黒木君の言葉に私は首を横に振った。
「黒木君は謝らないで…。
私、こうしてるだけで幸せなの……。」
黒木君はフッと微笑んで私の髪を撫でる。
黒木君の触った髪一本一本が熱を持つ。
私は今、体中で"幸福(シアワセ)"を感じていた。