初恋の味はどんな味?
しばらくすると、黒木君はそっと離れた。
え……もう、終わり…?
嫌だよ………
私はぎゅっと抱き着いた。
「…桃華?
珍しいな、お前からなんて…。」
黒木君は優しく笑いながら、私の気持ちに答えて抱きしめてくれた。
「桃華。
俺、そろそろ時間なんだ。」
「ヤダ……離れたくない…。」
私が駄々をこねると、黒木君は困ったように息を吐いた。
「こんな風になるから、別れたんだけどね…。
大丈夫……また、会いに来るから。
遅くなっても、きっと…。」
黒木君は私の頭にキスを落とした。
「でも、俺だけ好きになるんじゃなくて、他のやつを好きになったりしろよ。
桃華を縛り付けたくないんだ。だから……」
黒木君は私の顔を自分に向かせて、目を見ながら言った。
「俺らはもう恋人じゃない。」